散歩道<3434>

                   社説・イラク戦争検証・日本も国家の責務として(2                  (1)〜(3)続く

英首相決断の危うさ
 米国とともに参戦し、200人近い将兵を失った英国では、ブラウン首相の指示による検証が昨年始まった。元官僚や歴史家ら5人の委員からなる独立調査委員会はブレア前首相ら80人を諮問し、当時財務相だったブラウン氏自身からも近く証言を得る。内容はすべてネット上で公開されている。
 改めて明らかになったのは、世論や政府内の慎重論を黙殺し、正当性の乏しい戦争に突き進んだブレア氏の決断の危うさだ。証言したブレア氏は「サダム・フセインを倒したことに悔いはない」と強気で弁明した。
 一国の政治を預かる権力者が時に孤独な決断を迫られることはあろう。だが、当時閣僚たちの証言からあぶり出されたのは、閣議で戦争遂行の是非をめぐる議論がほとんどなされなかったことだ。外務省の国際法専門家の間には反対論が強く、参戦に抗議して辞職した人がいたことや、政府内にフセイン政権打倒後の復興支援構想がなかったことも明らかになった。
 ブッシュ政権との関係に英国がいかに苦悩していたかも見えてくる。米国の単独行動を抑えるため、国際合意の取り付けに奔走した当時のストロー外相は、米政権内の戦争推進派との難しい交渉を振り返り、「使う言葉は同じだが、やり方は全く異なる国だ」との証言のなかで語った。

'10.2.22.朝日新聞

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