散歩道<3426>
                     ザ・コラム・ユーロが生んだ危機の種(2)                    (1)〜(3)続く
                          欧州の財政不安

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 日米に比べ、欧州は財政が悪化することに対して脆弱
(ぜいじゃく)である。その理由は、財政的には独立した欧州諸国が、ユーロという共通通貨を使っていることにある。
 「共通通貨」というと革新的な概念のように聞こえるが、経済額的には為替の「固定相場性」と実質的にほぼ同じ制度である。固定相場制は、財政的に独立した国々が、「金」や「ドル」という一つの通貨を使う制度と見なせる。例えば。戦後1970年代まで続いていたブレトンウッズ体制では、世界中の国の通貨が米国のドルとの交換比率を固定する固定相場制だった。世界中の国が米ドルを使っていたのと同等である。
 最近でも、中南米やアジアの新興国は自国通貨と米ドルの交換比率を固定化する為替制度すなわちドルペックを採用する国々が多かった。現在の欧州は、ユーロという人工通貨に自国の通貨を1対1で固定する固定相場制を撮っている、と解釈することができる。
 固定相場制では、固定された通貨の価値を保証しているのは各国の政府であり、その保証の信頼性は、各国政府の財政の健全性にかかっている。したがって、固定相場制の国で財政が悪化すると、固定為替レートが維持できなくなるのではないか、という疑念が生まれ、通貨危機に陥る。97年のアジア通貨危機やその後のアルゼンチンの通貨危機など、過去十数年に世界中で起きた通過危機は、すべてドルペックしていた国で財政が悪化して起きた。ドルと自国通貨の交換レートを維持するという約束をその国の政府が守れないのではないか、と市場が疑心暗鬼に陥り、そのために通貨逃避のパニックが起きたのである。

'10.2.25.・朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏


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