散歩道<3418>
経済気象台(546)・新金融規制案の限界
先月オバマ大統領は、ボルカー元FRB議長により立案された新金融規制案を公表した。ボルカー氏の名前にちなみボルカー・ルールとも呼ばれている。
新金融規制案は預金受入れ銀行に対し、自己勘定でのトレーディング、ヘッジファンドや未上場株への投資などを禁止するものである。市場では中間選挙を控えた人気取り政策だとの批判も出ている。預金保険などである意味守られている銀行に対して、非常にリスクの高い商品の投資やトレーディングをやめさせ、預金に見合った貸し出し業務に徹することで、銀行が大きく膨れ上がることを防ぐことが狙いだ。つまり今回の金融危機を踏まえ、多額の税金投入を余儀なくさせた銀行救済を二度と起こさせないためだ。
しかし、今回の危機を起こしたのは銀行だけではなく投資銀行や保険会社も含まれている。従来の銀行中心の規制や監督では危機を防げず、新融規制案も銀行が対象なので、危機は防げないとの議論もある。
また、自己勘定によるトレーディングについても定義するのは容易ではない。市場での取引はマーケットメークもあれば顧客取引のカバーもあるわけで、それらと自己勘定のトレーディングとの区別は困難だと思われる。
今回の流動性危機で銀行の持ち株会社化した投資銀行は、再び証券会社化する動きとなるだろう。だが、グラス・スティガル法を撤廃して銀行と証券の一体化を認めてからわずか10年余でまた元に戻すのか。これは欧州で進む銀行業務と証券業務を一体で行うユニバーサルバンキング化とも逆行する。いずれにせよ新金融規制案はグローバルな観点から慎重な議論が必要だ。
'10.2.16朝日新聞