散歩道<3414>

                        経済気象台(542)・弓も引き方

 オバマ米大統領がさきに公にした金融規制案は5日からカナダで開かれるG7(主要7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議)焦点になろう。大統領の発表は与党民主党がマサチューセッツ州の連邦上院補選で敗北、上院の安定多数を失った直後だったから、その唐突感やウォール街に対する政治的バッシングだと見る反発で金融市場も揺れたが、ウオール街の友人たちは案外冷静だ。オバマ政権の経済回復顧問委員会議長のボルカー元FRB議長は事前に腹案をウオール街の重鎮たちに打診済みで大方の支持も取り付けているらしい。
 オバマ政権は13の法案を包括した金融規制改革法案を議会に提出しているが、今回の規制案は通常の銀行業務で預った預金をヘッジファンドなど投機性の高い投資に回すことを禁止しようとする。商業銀行部門は投資部門とは一線を画し、預金者を保護し、同時に投機的資金の抑制も図る。一般に分かりやすいので、こうした考えは昨年秋、英議会に提出された金融サービス法案や、ドラロージエール元仏中央銀行総裁を議長とするEU(欧州連合)欧州委員会の金融制度改革提言にも反映されている。 
 オバマ新提案は1930年代の大恐慌時に銀行と証券業務を分離したグラス・スティーガル法の再現で、1999年に同法を廃止した金融自由化に逆行するとの懸念もある。英国の改革法案もサッチャー政権の金融自由化政策、いわゆる「金融ビッグバン」がロンドンが国際金融センターとして復活した歴史が改めて問われた形になる。だから問題はグローバル化している国際金融活動との兼ね合いだ。「弓も引き方」次第。各国そろい踏みで規制しなければ実効は望めない。

'10.2.3朝日新聞