散歩道<3411>

                     経済気象台(539)・2010年代の一つの視点

 2010年代。21世紀の10年代が始まった。昨年前の10年間同様、様々な変化が起ると予想される。肝心なのは、世の中を見つめる視点を時代の変化に伴って変化させていくことである。そこで始めて、時代の中の様々な意味が正しくとらえられ、適切な対応が可能になる。
 しかし、それは容易ではない。人口減少社会にもかかわらず、我々はいまだに人口増加社会だった時代と同様、国や企業の成長は当たり前だと考え、成長率という尺度にこだわり国や企業をとらえる傾向にある。
 ここに、面白いデータがある。博報堂生活総合研究所は「あなたは豊かな方か」「豊かでない方か」という質問を2年おきに大都市圏の男女
に尋ねる。その結果、1998年から2008年まで「豊かな方だ」と答えた人は、ほぼ52%53%台で推移し、統計的には殆ど変化がなかった。
 しかしその10年間、企業が倒産し、デフレや失業が社会問題になる一方で、一部の企業は最高の売上高を記録し、GDPも上昇し、景気回復と騒がれた年もあった。社会の変化が消費者の心に反映しデーターに表れそうだが、社会の状況と消費者の意識は一体ではなく、その心は停滞したままだ。
 バブル経済の崩壊以降、日本には真の景気回復がないという見方がある。さらに、一昨年の世界金融恐慌の影響もあり、日本では10年以上の不況が続いているとみることもできる。そのような中で、新たな10年間に求められるのは、「景気回復なんて訪れない。今後も不況が続く」という一つの視点である。そして、景気対策だけでなく、ワークシエァリングの一般化など不況を前提とした現実的で抜本的な取り組みであろう。


'10.1.15.朝日新聞