散歩道<3408>
                 仕事力・新井 満「人の役割は『好きの』の隣に」・(2)               (1)〜(3) 続く
                右の写真は、講演会第26回「平和の日」会場の庭に咲いている梅と早咲きの桜  

混沌とした業界だからこそ   オリジナルへの勇気
  美の再発見と伝達が私の人生ですから、伝わらなければ意味がない。分かりやすいことは伝達の基本です。
 伝える為には、心を砕き、努力を惜しむまいと考えました。いい仕事をしたいと工夫をする中で、いい曲を作る努力もし、それが次第に作詞作曲家への道につながりました。
 好きなものを更に大好きなものにしていく。それが生甲斐にもなっていく。同時に役割を果たすことにもなっていきます。
 仕事の流儀にも色々ありますが、新しいオリジナルな流儀で成功したいものです。人と違うことをする。これが基本です。
 当時売れていたテレビCFは、商品名、色やデザイン、価格、イメージタレント、宣伝コピーやCMソングなど大衆に訴えたい情報を限りなく足し算した映像です。
 当時、私と仲間達はたくさんの環境映像を取りました。富士山、桜、北山杉といった日本全国の自然風景ばかりをそれぞれ1時間以上、ビデオ撮影しました。例えば「桜」という作品には、最初から最後まで一本の桜しか登場しません。画面は常にフイックスされていて、ズームやパンといったカメラワークはない。音楽もなし。人物も登場しません、つまりさまざまな情報をできる限りマイナスした究極の引き算アート。それが環境映像でした。
 確かに当初は全く売れませんでした。しかし、30年後の今はどうでしょう。環境映像は私たちの暮らしの中にすっかり溶け込んでいますよね。
 「足し算」の時代だからこそ、現代人は「引き算」の映像によって精神のバランスをとろうとしているのかもしれません。環境映像を作っていくうちに私がたどりついたのが環境問題の文学です。
 それで思いがけず芥川賞をもらいました、


'10.2.14.〜'10.3.07. 朝日新聞・作家・作詞作曲家新井 満氏

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