散歩道<3388>
opinion・日中逆転・世界のモデルにはならない(2) (1)〜(3)続く
日本でも予算の無駄遣いがしばしば指摘され、政権交代の「事業仕分け」が国民の注目をあびた。中国の仕組みは、潜在的にとてつもなく無駄があり、持続的ではない。財政悪化と国有銀行の不良債権として、いずれツケが回る。そして、特権の枠外にいる庶民には不満がたまる。
経済の拡大で、国際社会でも環境や人権問題に見られるように、自己流を押し通す力が増した。他者のチェックがきかないという点で、中国は国内では「独裁」の、国際的には金融危機後の「一人勝ちのワナ」にはまりつつある。
一方、中国では今、官と民の力が壮絶な闘いを繰り広げている。経済活動を通じて世界とつながり、市場経済の副産物として情報や思想が流れ込んだ。権利意識、市民社会の芽としてのNGO(非政府組織)・・・。経済成長にしか政権維持の正統性を持たない中国共産党にとっては、こうした民の力が怖いのだろう。人権活動家への過剰な抑制もその表れだ。
日本が作秋、政権交代した時には、中国のネットユーザーが沸き立っていた。「平和的な政権交代はできるんだ」と。日本は中国人が「ああなりたいと」憧れる何かを持つことが大切だ。ビル・ゲイツ氏をうみ、グーグルを作った米国はすごいな、と日本人が思うように。そして、13億人を巨大市場の成長の糧と見るだけでなく、権力に静かに抵抗しながら市民社会を築こうとしている人々に心を寄せられる隣人でありたい。
'10.2.7.朝日新聞・神田外語大教授・興梠(こうろぎ)一郎氏