散歩道<3385>

                       opinion・日中逆転脅威か好機かは日本しだい(1)   (1)〜(2)続く

 中国が国内生産(GDP)で日本を上回っても、人口が10倍あり、1人当りGDPでは日本の1割程度ににすぎない。中国の現在の発展段階では、平均寿命や1人あたりの電力消費量などで比較すると、40年前の日本にほぼ対応している。経済規模こそ大きいが、まだ発展途上国だ。
 生活水準だけでなく、社会制度などを合わせたトータルで比べれば、両国間の格差は経済面での格差よりさらに大きい。中国が日本に追いつくには相当な時間がかかる。日本はもっと自信をもってほしい。よく日本の経済は競合しているといわれるが、私は「補完関係」だと見ている。ローテク分野では中国の方が強く、ハイテク分野では日本の方が強い。中国と日本は工夫次第で、共に発展する「ウィン・ウィン」の関係になれる。
 工業生産を川に例えると、日本の強みは研究・開発などの「川上」と、アフターサービスなどの「川下」にあり、付加価値や利益率が高い。一方、中国の強みは「中流」の組み立てだ。労働集約型で付加価値は高くない。
 ただし、中国は自動車と鉄鋼といった日本の強みだった一部の産業において、猛烈に追い上げている。自動車生産台数で世界一になったし、粗銅生産量は日本の6.5倍に達している。広東省では労働力が過剰から不足に転じ、東南アジアに工場を移すようになった。日本では「空洞化している」などと報じられたが、正しくない。付加価値の高い部分に移行しようとしているのだ。日中の差はだんだん小さくなっている。

'10.2.7.朝日新聞・野村資本市場研究所シニアフェロー・関(かん)志雄(しゆう)さん


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