散歩道<3384>

                     opinion日中逆転・新秩序づくりに心意気示せ(2)              (1)〜(2)続く

 今後は中国が日本に投資する時代が来る。私は中国へ投資するファンドを経営している関係で、中国の地方政府や金融・企業関係者とよく接する。日本の技術や工場管理への評価は高いが、労働慣行などを含めて日本の国情への理解は低く、これでは投資の成功はおぼつかない。
 また日本も情報パイプがないので、投資のニセ情報にだまされる。ビジネスマンが往来して付き合いが広まり、深まる体制づくりが必須だ。また、両国政府は投資や貿易を促進する「日中EPA(経済連携協定)」を「研究課題」のままにしているが、はっきり目標に掲げるべきだ。日本にとっての障害は農業問題や対米関係への配慮だ。中国側にも自動車関税などの不安材料があるうえ、日本はどうせ障害を解決できないだろうと見越して本気にならない。
 だが、障害は克服できる。民主党政権が準備する農家戸別所得補償は、もともと高い関税障壁にたよらずに日本に農業を残す手段だ。関税が下がれば農産物が安くなり、中国や米国ともEPAを結べるようになる。そのためなら予算が数兆円かかっても引き合うと思うが、関税をどうするかの議論抜きに導入を進めるのは疑問だ。 また、「日中EPA」に米国が不安を抱き、不快に感じるのではないか、という心配も無用だ。日中EPAが実現しそうだとなれば、米国は必ず入れろと言うし、それは日中とも歓迎だ。中国にとっても米国は日本以上に大事な国で、「日中枢軸」はありえない。日米中が参加・・・とオチは決っているが、だれがどう仕掛けるか。日本が存在感をアピールしていくべきだ。

'10.2.7.朝日新聞・東亜キャピタル社長・津上 俊哉さん

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