散歩道<3374> 
                    
                           社説・朝青龍騒動(2)・ここから何を学ぼうか                     (1)〜(2)続く

 いまや幕内の4割は外国人に頼らざるを得ないのが実情だ。かれらに相撲の伝統をになってもらう為には、日本人でも説明するのが難しい「品格」という言葉を押し付けるのではなく、その内実を詳細に具体的に語り聞かせることが不可欠だろう。
 様式や約束ごとには本来、深い意味がある。伝統の継承とは、それを掘り下げて理解したうえで身につけることだ。形をなぞらえることではない。そのための教育や研究には、外部の知恵や力を大いに借りたらいい。
 外国人を受け入れていくうえで、検討すべきことは他にもたくさんある。たとえば、どんな立派な実績を残しても、引退後は日本国籍に変えなければ、親方として指導や協会運営に加われない仕組みはこのままでいいか。
 頭にまげを乗せている純日本的な集団が、優秀な外国人に支えられている。そこに私たちがいま、あるいは将来、直面する問題が突出して表れていると見ることもできる。
 日本に暮らす外国人は増え続けている。こちらの考え方に合わせてくれる人は歓迎し、そうでない人は排除するというのは、もはや通用しない。
 同じ社会を構成する仲間として、相手に分かりにくい固有の習慣や伝統があれば。丁寧に説明し、理解を求める。あるいはこちらが変わるべきところは、変えていく。その積み重ねが、お互いの信頼を築いてゆくはずだ。
 多様な文化が共生する社会をつくるために「朝青龍騒動」から酌むべきことは、実は少なくないのである。

'10.2.9. 朝日新聞

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