散歩道<3347>
経済気象台(535)・時極まれば転ず
今年の11月は東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊して20周年、欧州首脳参加の盛大な式典も開かれた。この歴史的大事件を契機に東西冷戦は終結。民主主義、自由経済は社会主義、計画経済に勝利して、民主主義、資本主義があまねくゆきわたることも期待された。
だが、この20年間、冷戦終結がもたらした世界における政治的、経済的な地殻変動の中で、大きく頭をもたげてきたのは、東側に組していた中国だ。あっという間に8千億jを超えるドル保有国として、日本を抜き、世界を睥睨(へいげい)するにいたった。その中国はいまだに政治的には一党独裁下、経済的には国家管理下にある。東側の主軸だった旧ソ連は共産革命で農本主義からいきなり社会主義に移行したので、資本主義は未経験だった。ロシアとして出直したものの、自由経済の導入は混乱を極めている。しかし、石油大国として強圧的な資源外交を展開して存在感を高め、主要先進国会議の一員だが政治の独裁色は消えていない。
第2次世界大戦後の世界で経済的に台頭してきたのは、ほかならぬ全体主義国で敗戦国の日本とドイツだった。米国をはじめ当時の先進各国は経済的に躍進する日独両国をどう順応させるか苦慮し続けた。日米経済摩擦、金・ドル本位制の崩壊はその事跡である。そして日独両国は成熟した民主主義、資本主義国として発展、日本は米国に次ぐ経済大国になった。
「時極まれば転ず」歴史の皮肉は計り知れない。すでに米中経済摩擦は始まっている。日米EU(欧州連合)の先進国が中国、ロシアが民主的自由経済国として脱皮するよう手伝うのかどうか。21世紀、次の十年の大命題であろう。
’09.12.30.朝日新聞