散歩道<3345>

                         経済気象台(532)・財政赤字というアキレス腱                

 2010年度予算案の姿が見えた。一般会計総額は過去最大の92兆円となり、それを税収37兆円、国債44兆円、税外収入(埋蔵金など)10兆円などで支えることになる。鳩山首相は、国債発行額を09年度以下にとどめたことにほっとしているのだろう。
 しかし、巨額な財政赤字が今後大きなアキレス腱となることに、新政権はもっと敏感になるべきだ。
 第一に、税外収入は通常3兆
4兆円であり、埋蔵金を使い果たした後は、歳出を減らすか国債発行を増やせなければならない。それは、景気を冷やすか、巨額の国債発行が常態化する懸念を伴う。
 第二に、債務残高が、急激に膨らんでいる。09年度末の長期政府債務残高は825兆円で、この5年間で100兆円弱も増えた。その結果、利払い・償還負担は歳出の2割を占めるまで増大しており、名目GDP成長率が国債金利を下回り続ければ、その比率はさらに上昇してゆく。それは、高齢化に伴う社会保障費の増大と相まって、教育や研究開発など、日本経済の長期的発展に不可欠な支出がさらに削減されることを意味する。
 第三に、財政規律喪失の懸念が、金融市場や為替市場を不安定化させる懸念がある。
 世界の金融市場は、財政赤字の膨張に対する懸念を強めている。ギリシャなどでは、国債格下げを背景に金融市場が不安定化しており、それが英国や米国に及ばないという保証はない。日本も、現時点で長期金利が落ち着いているからといって、財政危機をひとごとだとうそぶいてはいられない。ひょっとしたら、市場や投資家が不信感をつよめる臨界点をすでに超えているかもしれないのだから。  

'09.12.9朝日新聞