散歩道<3342> 

                             経済気象台(530)・ドバイ・ショック         

 11月25日、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する七つの首長国の一つであるドバイ政府が、政府系持ち株会社であるドバイ・ワールド、と傘下の不動産開発会社ナキールの全債務(590億j)について、来年5月30日までの返済猶予を債権者に要請した。
 ドバイ・ワールドはニューヨークの百貨店バニーズを買収、また傘下のナキールは恒久住宅地である人工島「パ−ムジュメイラ」を造成するなどドバイ繁栄の象徴的な会社であった。ドバイそのものは産油国ではなく、金融や不動産開発による観光拠点を目指してきた。
 しかし、リーマン・ショック以降、信用収縮や不動産開発ブームに陰りが見え始め、経済が急速に減速していった。ドバイ・ショックによる市場の反応を見ると、近隣の非産油国であるエジプトやパキスタンでは株式が売られ、国債の発行を延期するなどしたが、主翼国の株式市場では一時的に株式は売られたものの数日間でほぼ株価は戻っている。
 また、外国為替市場ではUAEの通貨や債権額の大きい英国の通貨が売られているが、全体としては大きな変動は見られなかった。
 最も神経質な対応を取った国は韓国と英国で、当局による緊急会議の開催や、UAEとの銀行団同士による委員会を組織し対応にあたることになった。
 今回のショックで世界同時不安が起きなかったのは、実際の債務見直し額が当初発表より小さかったことに加え、UAEの中央銀行が流動性の供給を間髪いれず表明したことなどにより、他の金融市場への影響が限定的になったからだろう。だが、今後も開発途上国の資産やバブルや金融不安には警戒が必要なことは言うまでもない。

 '09.12.9朝日新聞