散歩道<3343>

                        経済気象台(531)・EUの研究開発戦略 

 欧州連合(EU)の新基本条約であるリスボン条約が12月1日に発効し、今後は統合が更に深化することが予想される。その中で研究開発面でのと統合も着々と進んでいる。EUの研究開発は、基礎研究から必要・応用研究の分野まで幅広い。基礎研究は「欧州科学技術研究協力」、総合的・実用化研究は「研究・技術開発枠組み計画」、実用化指向の技術開発は「欧州先端技術共同体機構」により行われている。
 特に「研究・技術開発枠組み計画」は欧州委員会の政策に基づくトップダウンの計画であり、研究開発の中核だ。今の第7次計画(2007〜13年)の年間予算は76億ユーロ(約1兆円)で、第1次(1984
87年)の9倍に拡大した。第7次計画の中心的なテーマーは情報通信技術、健康増進(医薬をふくむ)、運輸、ナノサイエンス・ナノテクノロジー、核研究、環境である。産業界主導で行われる官民連携プロジェクトの「共同技術イニシアチブ」もその一部で、燃料電池、革新的医薬、ナノエレクトロニクスなどの実用研究開発が行われている。
 EUは低炭素経済を実現する技術や標準で世界のリーダーシップをとるという政策を明確に打ち出している。加盟各国もEUの方針に沿いつつ独自の研究開発政策を策定し、予算処置もとっている。EUは異なる文化や発想を持つ研究者を域内で活用する仕組みをその発足以前から始めていた。07年以降は実用化研究重視のに「研究・技術開発枠組み計画」の予算を大幅に増やすことで研究開発面でも世界をリードする方針を打ち出した。
 アジアでも、日本がリーダーシップをとって同様のことを検討する価値がある。


'09.12.9朝日新聞