散歩道<3339>
社説・クルーグマンコラム(1)・無知強欲 招いた人災 (1)〜(3)続く
ウォール街の声を聴くな
米議会の金融危機調査委員会が証人喚問を始めた。この委員会は恐慌後の1930年代、金融機関の取引実態などを調べ、大恐慌の再発防止策をつくった。「ペコラ委員会」の現代版目指すものだ。最初の公聴会で、委員会は大手金融機関のボス4人を厳しく諮問した。我々は何を学ぶことができたのだろうか?
もし、ドラマ「弁護士ペリー・メイスン」のような瞬間、詰まり、証人が「そうです!認めます!」と、口を滑らす場面を期待していたならば、今回の公聴会は期待はずれなものだった。変わりに見たのは、証人らがこう口にした場面だった。「そうです!認めます!何なのかは分かりません!」
金融機関のボス連中の証言で明確になったのは、今でもなお、彼らがこの金融・経済危機の本質や広がりを把握できていないという驚くべき事実である。これは重要なことだ。連邦議会やオバマ政権が金融システムを改革しようとするのならば、ウォール街の賢者だと思われている人々からの助言など無視すべきだということだ。連中は提供すべき英知など全く持ち合わせていないのだ。
米国経済は依然、大恐慌以来最悪の金融危機がもたらした結果と格闘中だ。数兆jの収入が失われ、失業で数百万人の人々が、貯蓄が消え去ることを目のあたりにし、数十万人、おそらく数百万人が失業に加えて金欠状態の州政府による厳しい財政支出削減のため、生きるのに不可欠な医療保険を失うだろう。
この大惨事は全くもって自ら招いてしまったものだ。今の状況は中東の政治的不安定によるよる原油急騰に端を発する1970年代のスタグフレーション(景気後退後下での物価上昇)とは異なる。我々がこんな混乱に陥っているのは、全くもって米国の金融システムの機能不全が原因なのだ。これは誰もが理解していることだが、金融業界の連中は例外らしい。
'10.1.22.朝日新聞・米プリンストン大教授・クーグルマン氏(NYタイムス・1月15日付)
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