散歩道<3338>
社説・ザ・コラム・JAL法的整理(3) (1)〜(3)続く
再生に意欲と責任もたせよ
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企業再生が成功するための条件はなにか。
世界中で企業再生にかかわるリチャード・ギトリン弁護士は、倒産してもその企業の経営者や社員が再起しやすい社会を作ることが重要だと指摘する。再起しやすい社会をつくるには、企業再建が容易な倒産制度や失敗者に寛容な社会慣行などが必要になる。日本は活力がないのは、社会が倒産企業に厳しすぎ、再挑戦のチャンスをあたえないからだと、氏はいう。
日航の再生も社員が希望を持って再起に挑む気になれるような枠組みを作ることが慣用である。
一案は、会社の業績が上向けばそれに連動して社員の資産が増えるようにすることである。日航の社員やOBは、企業年金の大幅な削減に応じさせられ給与や経費もカットされるので、このままではモチベーションが下がる。犠牲の代償として、社員やOBに日航の新株を無償で交付し、新しい株主になってもらう。日航の企業年金の資産として新株を交付するという方法もある。
こうすることで、社員の資産や年金が再生後の日航の業績と目に見える形で連動する。会社と社員の目指す方向が一致し、全社員が一丸となって日航の再建に取り組む環境をつくることになるだろう。また、社員は株主として会社の再生に責任を負うことになり、会社の運命を自分自身のこととして考えるようになる。大企業病を脱し、再生のために積極的に行動しようとする意識改革も期待できるだろう。また、債権者の銀行も「債務の株式化(日航への債権を放棄する代わりに無償で日航の新株を交付してもらうこと)によって日航株を取得すべきだろう。特に納税者が保証している日本政策投資銀行の貸し出しの一部を日航の株式に転換しておけば、将来、日航の業績が上向いた時に、日航の株価が上って国民の負担のコストを回収することができるし、国民全体が日航の株主として、その再建を応援することになる。
すべての関係者が会社の再建から利益を得るようにすることが再起への高い意欲を引き出し、企業再生の成功に繋がる。それは、関係者全員に企業再生への責任を持たせることにもなる。
'10.1.21.経済産業研究所上席研究員 小林 慶一郎氏
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