散歩道<3337>
社説・ザ・コラム・JAL法的整理(2) (1)〜(3)続く
再生に意欲と責任もたせよ
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しかし、企業再生は、政策的な意義を持った新しいタイプの産業政策とみるべきかもしれない。
世界経済危機のこの1年あまり、先進各国で、個別企業の救済や再生に政府が公然と関与してきた。アメリカ政府は自動車大手のGM、クライスラーの経営再建を主導し、フランスやドイツでも政府系ファンドが企業再生に乗り出している。危機で世界経済が劇的に変化し、行先の不確実性が上ったときには、不安のため民間の消費や投資が萎縮(いしゅく)する。危機によって企業が破綻に瀕すると、その企業の経営悪化が思わぬところに飛び火するのではないかという疑念を生む。その結果、その企業と無関係な第三者まで過度に慎重になり、投資や消費が低迷する。
つまり企業の経営危機によって生じる市場の不確実性は、第三者の行動まで阻害する。この性質を外部不経済効果と言う。外部不経済効果は、市場の失敗のひとつで、市場に任せていては、十分に解決できない問題である。
企業再生のプロセスで、問題の企業の将来性がはっきりすれば、市場に広がった不確実性や疑念を減らすことができる。すると不安が解消され、投資などが増えて景気が上向くと予想される。企業再生には不確実性の外部不経済効果を解消する働きがあるわけだ。企業再生は、一般には政府の政策ではなく、投資ファンドなどがビジネスとして行っている。こうした企業再生ビジネスは、市場の不確実性を除去し、外部不経済効果を解消するという公共的な役割をになっていると考えられる。
企業再生への政府の関与もそこから正当化される。企業再生支援機構など公的機関による企業再生は、対象企業だけではなく、経済全体をよくする波及効果がある。
'10.1.21. 経済産業研究所上席研究員 小林 慶一郎氏
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