散歩道<3333>
新・大きな物語 不安に満ちた時代こそ・ 「創」 (2) (1)〜(3)続く
本物志向新世代の筆に希望
新世代が次々と大きな物語を手がけている。だが、作家の関川夏央さんは懐疑的だ。「司馬さんも山崎さんも戦前の教育で育った人。それに比べ、進歩一本やりの戦後教育を受けた世代は、重層的な歴史観を持っていない。矛盾が生じたときに束ねる力量がない。過去の成果を流用しているだけだ。大きな物語は、近過去も含めた時代劇の中に見いだすしかない」
確かに、今の大きな物語には、松本清張作品を含め、60〜70年代に大作として映像化されたものが目立つ。「当時は『東西』や『貧困』という大きな物語にふさわしい大きな主題があった」と映画評論家の樋口尚文さんは言う。その後大きな主題が見えなくなり、自分探しが人生の目的になった。今のブームは、大きな主題に立ち向かって熱くなった人々への、あこがれと郷愁にすぎないのではないか」
80〜90年代は、半径数b内*7の人間関係を描いた等身代の物語がもてはやされた。テレビで言えば若者の恋愛を描くトレンディードラマが視聴率をかせいだ。ところが21世紀、こうした作品の人気が低迷する、そんな中、出てきたのが、70年代以前に好まれた大きな物語のリメークだった。
'10.1.11.朝日新聞
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