散歩道<3332>
新・大きな物語 不安に満ちた時代こそ・ 「創」 (1) (1)〜(3)続く (文化に所属)
本物志向新世代の筆に希望
「坂の上の雲」「沈まぬ太陽」「コースト・オブ・ユトピア」・・・。テレビドラマや映画、演劇の世界では、文字どおり「大きな物語」たちが今、深い眠りから目覚めつつある。昨年末に始まった司馬遼太郎*4のNHKドラマ「坂の上の雲」は、3年にわたり全13回放送するテレビ史上に例のない大作。秋山兄弟や子規らの生涯を通し、近代日本の青春期ともいえる明治期の空気を再現する。山崎豊子さんの長編小説をドラマ化した「不毛地帯」(フジテレビ)は、元将校の商社マンが防衛庁をめぐる不正に巻き込まれる姿を描き、戦後裏面史を浮かび上がらせる。半年間じっくりと大きな*6物語を見せる。
3時間22分の映画「沈まぬ太陽」*3も山崎さんの長編が原作.御巣鷹山のジャンボ機墜落事故を中心に、華やかな航空会社の不条理な実像を描く。10年来の企画だったという元フジテレビの小林俊一プロデューサーは「バブル期に至る時代、企業が人間をどう扱ってきたのかに焦点を当てた」という。
21世紀に入り、山崎さんの小説は次々と連続ドラマ化されている。2003年の「白い巨塔」から05年の「女系家族」、07年の「華麗なる一族」、そして09年の「不毛地帯」。1978年の田宮二郎版「白い巨塔」から山崎ドラマを手がける小林さんは「時代をとらえる筆力が魅力」と話す。
もっともこれらの映像作品がすべて成功しているわけではない。「坂の上の雲」「不毛地帯」ともに視聴率はそれぞけ17%、11%前後。小林さんは「本物*5への志向が作り手に出てきたのは確かだが、民放には本物のドラマを作るノウハウが絶えてしまっている」とみる。
'10.1.11.朝日新聞
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