散歩道<3324>
社説・日本@世界 試される政権の外交力(3) (1)〜(4)続く
大過度期を生きる術学ぼう
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次にG2の登場。現時点では、G2という機構は存在しない。米中両国ともそうした特殊関係を否定している。米中戦略対話は、両国間に共通項より対立項が多いから必要とされているという面もある。にもかかわらず、金融面での米中融合は事実上のG2を生んでいる。
中国は対米黒字で稼いだドルで米国債を購入し、米国はそれによって経常赤字を補填(ほてん)する。米国は人民元切り上げを臨んでいるが、下手にそれを仕掛けるとドル暴落を引き起こしかねない。両国の関係は、「恐怖の均衡」による核のMAD(相互確証破壊)ならぬ、経済のMADE(相互確証破壊経済)などと呼ばれるようになった。成長、貿易、金融だけではない。核、テロ、地球温暖化、平和構築・・・米国が中国との協調を必要とする分野は広がっている。イアン・ジョンストン米ハーバード大教授が言うように「中国は国際システムにおけるインサイダーになってきた」。米国にとってのG2は、中国をさらに”インサイダー”化させることで、米国の世界戦略の合理化を図る試みと見てよい。
もっとも、中国に対する米国内の反発も根強い。国民が不愉快感をとがらせるような「融合」が進むと、米国を孤立主義に追いやる危険もある。またG2は、その方向をとやり方次第では欧州連合(EU)、日本、ロシア、インドなどの関係国を動揺させる。
日本は対米、対中関係を安定させることで米中の「自動安定化装置」の役割の一端を担うことができる。それを促すための日米中政策対話も考えたい。その際、アジア太平洋の諸国が日米同盟を地域の公共財の一つと位置づけることを忘れてはならない。鳩山政権の対米感や対米外交について、韓国、オーストラリア、シンガポール、ベトナムの4カ国は米政府に「懸念」を内々に表明している。その事実を重く受け止めるべきである。
'10.1.7.朝日新聞・本社主幹・*1船橋 洋一氏
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