散歩道<3312>
社説・アジアとの共生(2) (1)〜(3)続く
手携え人づくりの大循環
生き残りをかけて
任天堂のゲームづくりを率いる専務の宮本茂さん。頭脳には失敗を含めゲームづくりの経験と知識が詰まっている。世の変化に応じて過去の蓄積から使える要素を引き出し、組み合わせてきた。「涸れた技術の水平思考」だ。
イノベーションに発明が欠かせない。というのは間違いだ。需要と供給の微妙な食い違いへの「気づき」からも生まれる。米IBMはコンピューターを学術計算に使うという固定観念にとらわれず、事務処理に使えばいいと思いついて巨大企業になった。
新たな光をあててみるべきものは、企業だけではない。日本の地域に眠る「緑」「水」「海」などの自然の幸、独自の伝統文化や安全な社会といったソフトパワーにも再評価が必要だ。
ニッポンの再発見
追い風は吹いている。すでに世界で日本の顔となったアニメ、漫画をはじめ、さまざまなポップカルチャーや若者ファッション。世界ブランドの工業製品だけではない日本の姿をアジアが改めて発見し、開拓しつつある。
大分県が成功させた「一村一品運動」。その基礎には、世界の目線で地域の資源を評価できる人材の育成があった。島根県の隠岐・海土町は、千葉県我孫子市の会社が開発した瞬間冷凍装置を導入し、中国に新鮮な白イカや岩ガキなどを輸出している。
孫子の兵法に学ぶまでもなく、顧客と市場、社会を知り、自分を知ることこそが王道だ。日本の再出発には、もてる資産を自覚する「ニホン総棚卸し」が求められる。 企業でも地域でも、人材がかぎを握る。アジアが必要とする資源の情報を吸い上げる人、日本の資源で役立ちそうなものを提案する人。企業や地域がアジアに大事なお客さんや、かけがえのないパートナーがいるという関係を網のように広げていく。
'10.1.4.朝日新聞
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