散歩道<3311>
社説・アジアとの共生(1) (1)〜(3)続く
手携え人づくりの大循環
幕を開けた2010年代は、世界的な構造変化が加速するに違いない。経済の分野では、米国一極集中から多極化へ、といううねりだ。
米国の過剰消費に世界中がもたれかかれば何とかなるという時代は終わった。世界大恐慌以来の経済危機を克服するうえで協調は不可欠だが、同時に各国が内需を振興して自立的な発展を進めることが前提になる。
特に、輸出と貯蓄にいそしんできたアジア等の新興国が「豊かでエコで安心・安全な社会」をどう築くか。世界の安定と調和はそこにかかる。
生き残りをかけて
日本経済は生き残りをかけて、アジアへの融合を図ることが求められる。アジアの需要をただ取り込もうという発想でなく、近隣諸国の豊かな社会づくりに寄与し、結果として生まれる市場の果実を得るようにしたい。
たんに商品やサービスを売るのではなく、現地に溶け込んだ商品・販路づくりや人材育成が欠かせない。現地の発展に日本がどんな資源が生かせるか。志しを高く持ち、考え抜く人材を一人でも多く育てる必要がある。
すでに多くの企業がアジア向け製品開発に走りだしている。パナソニックは、中国で家電製品が行き渡っていない農村地帯にどんなニーズが眠るか、徹底的に調べている。戦後、都会向けと思われたテレビを農村に売り歩いて飛躍的につなげた歴史を彷彿(ほうふつ)とさせる。求められるのは必ずしも最先端の技術ではない。むしろ蓄積されたものを適切に組み合わせる、日本の大手電機メーカーの研究所には、韓国メーカーなどが「すぐ製品化したい」と思う成果がたくさん蓄積されているという。日本の産業は、持てる蓄積をアジアや世界の目線で認識し直すことが大事だ。
'10.1.4.朝日新聞
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