散歩道<3305>
社説・激動の世界の中で(2)・より大きな日米の物語を (1)〜(3)続く
同盟という安定装置
最強の軍事大国と専守防衛の国。太平洋をはさむ二大経済大国。類(たぐい)稀な組み合わせをつなぐ現在の日米安保体制は今年で半世紀を迎える。大きく歴史を振り返れば、大統領が誇るのももっともなことだ。
いざというときに日本を一緒に守る安保と、憲法9条とをたくみに組み合わせる選択は、国民に安心感を与え続けてきた。そして今、北朝鮮は核保有を宣言し、中国の軍事増強も懸念される。すぐに確かな地域安全保障の仕組みができる展望もない。
米国にとって、アジア太平洋での戦略は在日米軍と基地がなければ成り立たない。日本の財政支援も考えれば、安保は米国の「要石」でもある。日本が米国の防衛義務を負わないからといって「片務的」は当らない。
アジアはどうか。日米同盟と9条は日本が自主防衛や核武装に走らないという安心の源でもある。米中の軍事対立は困るが、中国が「平和的台頭」の道からはずれないよう牽制するうえで、米国の力の存在への期待もあるだろう。中国を巻き込んだ政治的な安定が地域の最優先課題だからだ。
同盟国だからといって常に国益が一致することはない。そのことも互いに理解して賢く使うなら、日米の同盟関係は重要な役割を担い続けよう。
問題は、同盟は「空気」ではないことだ。日本の政権交代を機に突きつけられたのはそのことである。
「納得」高める機会に
普天間問題の背景には、沖縄の本土復帰後も、米軍基地が集中する弊害で脅かされ続ける現実がある。
過去の密約の解明も続く。米国の軍事政策と日本の政策との矛盾。当時の時代的な背景があったとしても、民主主義の政府が隠し続けていいはずはない。密約の法的な効力がどうなっているか。国民は関心を寄せている。
いま日米両政府が迫られているのは、これらの問題も直視しつつ、日米の両国民がより納得できる同盟のあり方を見いだす努力ではなかろうか。
とくに日本の政治には、同盟の土台である軍事の領域や負担すべきコストについて、国民を巻き込んだ真剣な議論を避けがちだった歴史がある。鳩山政権のつたなさもあって、オバマ政権との関係がきしんではいるが、実は、長期的な視野から同盟の大事さと難しさを論じ合う好機でもある。
日米の安保関係は戦後の日本に米国市場へのアクセスを保証し、高度成長を支える土台でもあった。いまや、日中の貿易額が日米間のそれを上回る。中国、アジアとの経済的な結びつきなしに日本は生きていけない。
しかし、だからといって、「アジアかアメリカか」の二者択一さながらの問題提起は正しくない。むしろ日本の課題は、アジアのために米国との紐帯(ちゅうたい)を役立てる外交である '10.1.1.朝日新聞
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