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                       紙上特別講義C・就職@・低い自己評価               ・・・・・発想を変え

 香山先生は若者が就職は怖いと感じている若者に気がついたといわれる。1対1で話してみると彼らの心理が見えてきた。まず非常に自信がない。「どうせ社会では必要とされない」「雇ってくれる所なんかない」とばかり言っていました。「就職しなきゃ」という気持ちはあるのに、時間だけがたちます。そこで、ここはどうかといくつかの求人を示しましたが今度はなぜか食いついてきません。内心では「自分しかできない仕事がどこかあるはず」と信じてているようなのです。低い自己評価と「自分は特別」というプライドその2つの間で動けなくなっているのです。こうした心理に陥るのはなぜでしょうか。私は「本当にやりたいと思うことを仕事に」と強調する風潮が影響していると思います。学生はメディアや学校から「個性を大切に」と繰り返し聞かされています。そして、次第に「自分しかできない仕事につかねば」と強迫観念を持つようになります。「これだ」と思える理想的な職が目の前に現れない限り、妥協しようとしません。当然そんな仕事は簡単には見つかりません。それどころか、「自分探し」に入り込んでしまうと、もう悲劇です。例えば歌が上手だと思ってもインターネットで検索すれば天才的に歌のうまい人の情報があふれています。若者は自信を失い、不安を深めるばかりです。就活本・・・の情報に頼って就職を乗り切ろうとする学生もいます。この手の本は大抵、盛んにあおり立てて「やるぞ」という気持ちにさせます。学生はハイテンションで自己分析に没頭し、盛んに「この仕事が好きなんだ」と思い込もうとしします。私には「自己催眠」のように思えます。就職って確かに大変な問題だけど、人生のすべてではない。もっと平凡でささやかなもの。偶然決まった会社で、やりがいのを見つける人だって多いはずです。情報があふれる中、どう生きるかは若者は不安です。就職を考えることは彼らの心の問題を考えることでもあります。

'05.5.2.朝日新聞、香山リカ教授

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