散歩道<3277>

                    opinion・耕論・デフレとどう戦うか 成長戦略なしに脱却はない(3)                 (1)〜(4)続く

 デフレスパイラルに落ち込むリスクが非常に強くなるなら、量的緩和をするべきだ。しかし、穏かなデフレは進行するものの、スパイラルに落ち込む確度は高くない現状では、今の金融緩和策を継続して効果が出るのを待つべきだと考える。金融政策は、効果が出るまでに半年から1年はかかるのが普通だ。今日すぐには治らなくても、数週間後、あるいは数ヵ月後に治る見込みがあるうちは、今の治療を続けるべきで、副作用の強い治療法に移るのは、いちだん高いリスクが現実的になった段階にすべきではないか。現状のようなデフレが今後2年ぐらいは続くと見るのは、景気回復の速度が緩やかなものにとどまる為だ。経済成長なしにデフレ脱却はない。確固たる成長戦略を打ち出すことこそ、デフレ対策としても重要だ。
 日銀にインフレ目標政策を望む声もあるが、「景気は気から」という程度の話だろう。中央銀行の金融政策の目標である「物価の安定」を数字ではっきり示すインフレターゲット事態は、悪いことではないと思う。日銀も0
2%という物価上昇率を一応示してはいる。それをより強く打ち出すべきだどいう議論は成り立つ。しかし、金融政策の枠内で気分がよくなる話を期待するよりは、サイフのひもを緩めたくなるような成長戦略を聞く方が、よほど効果があるだろう。成長戦略という枠組みがなければ、デフレ対策といっても始まらない。

'09.11.29.朝日新聞・慶応大学教授・池尾 和人氏

関連記事:散歩道<検>言葉・デフレ、