散歩道<3276>

                    opinion・耕論・デフレとどう戦うか 成長戦略なしに脱却はない(2)                 (1)〜(4)続く

 今回のデフレは、金融危機をきっかけに米国の過剰消費時代が追ったことに伴う、世界的な需要不足が原因だ。前回の局面では、デフレに陥ってゼロ金利政策にまで追い込まれたのは日本だけだった。だから、日銀の金融政策運営がまずかったのではないか、とう見方が海外の中央銀行関係者の間にもあり、日銀に対する風あたりが強まった。しかし、今回は先進国がおしなべてデフレ傾向にあり、実質的にゼロ金利に追い込まれていることから、日銀への海外からの批判はあまり聞かない。各国ともいろいろ手を打っているが、成果は上らず、相身互いという感じなのだろう。
 正直なところ、パソコンとか家電などの工業製品価格が何十%も下落しているなかで、物価下落の平均値を2%程度でとどめているのは、日銀がずいぶん頑張って金融緩和で支えているからだという気がするくらいだ。金利コントロールという伝統的な金融政策の範囲内で、ぎりぎりまでやっている。
 それを超えて、さらに量的緩和など非伝統的な金融政策に踏み込めば、何がしかの効果は期待できるが、意図しない様々な効果が副作用として出るおそれも生じる。実際、検証が必要だが、日銀が前回実施した量的緩和が世界的な過剰流動性の一因となり、金融危機の背景になったのではないかという議論もある。無視しがたい副作用が伴うのが確かな以上、非伝統的な金融政策には費用と効果を見極めて踏み込むべきだ。

'09.11.29.朝日新聞・慶応大学教授・池尾 和人氏

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