散歩道<3275>
opinion・耕論・デフレとどう戦うか 成長戦略なしに脱却はない(1) (1)〜(4)続く
菅直人・副総理兼経済財政相が日本経済の現状について「デフレ状況という認識」と述べ、「デフレ宣言」をした。そのうえで、日銀に協力を求める意向を示した。奇妙な宣言の仕方だと思う。宣言するなら、対策を同時に発表するのが、政府の対応としては当然のことと思うが、経済の現状は好ましくないといっただけだった。すでにデフレだということに異論はない。それが好ましい状況でないことも明らかだ。ただ、耐え難いほど好ましくないのかという点は、議論の余地がある。物価下落と景気悪化の循環になる「デフレスパイル」に入るリスクが高ければ、本当に懸念せざるを得ない。しかし、非常に緩やかなデフレが1、2年は続く公算が大きいいものの、日本経済は回復基調にあり、歯止めを失って失速するリスクは必ずしも大きくないというのが平均的な見方だと思う。
勿論、円高の急速はデフレを悪化させる可能性があるし、米国経済が二番底に陥るのではないかという懸念もある。しかし逆に、昨夏のインフレをもたらした原材料価格の上昇は金融危機以降、世界的に需要が落ち込んで下落に転じたが、新興国の経済発展に伴う資源需要の増加という構造的要因は代わっていない。再びエネルギーと食料の価格が上昇してインフレに転がるリスクもある。この意味で現状は注意深く見守っていくしかない局面だろう。
'09.11.29.朝日新聞・慶応大学教授・池尾 和人氏
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