散歩道<3274> 
            
                    ザ・コラム・2010年の経済政策  新しい産業 環境軸に創出を(3)                (1)〜(3)続く

○ ○ 

 このような財政政策を考えた場合、問題は財源である。当面、政府が更に債務を増やして財政支出をせざるを得ない。その結果、将来的には非常に大きな増税(環境税や消費税)をせざるを得ない、それができなければ、非常に高い率のインフレが発生し、政府や国民の意図とは無関係に調整が行われることになる。それは事実上の増税と同じ事である。
 こうした財政の調整は、古い産業構造が新しい経済に変化する際には避けられないかもしれない。
 私たちの財政の本質は、もとをたどれば古い産業構造を前提にして作られた資本設備である。新しい産業構造に経済が変化すれば、古い資本設備は無価値になる。つまり、私たち現世代の財産の相当部分が無価値になってしまうはずである。その代わり、環境型の新しい産業が生まれ、そこから新しい富が生まれる。その新しい富の所有者は次世代の人々である。
 インフレは別として、すくなくとも現世代の財産が増税で減らされることは、その過大評価された富を本来的価値まで減価させる不可避なプロセスかもしれない。
 また、新しい産業構造ができれば、大きな富が生みだされる。うまくやれば財政が大破綻
(はたん)することを、さけられるはずである。
 経済の長期的な構造変化を見据えた政策ビジョンを作り、効果的な景気対策を考える必要がある。

'09.12.11朝日新聞 経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏