散歩道<3271>
霊長類研究者・山極寿一さんに聞く 理由なき殺人 なぜ続く(3) (1)〜(3)続く
サルの社会に似る
・・・・今家族も地域社会も存亡の危機にあるといわれています。ファストフードや電子レンジが発達して調理する時間が減り、コンビニエンスストアが各地にできて、いつでも好きな時間に自分が好むものが食べられるようになった。しかし、人々が向かい合って交流する機会が激減した。昨今の食事は、互いに視線を合わせないようにして食べるサルに似てきているような気がする。これでは共感の能力は育たない。共感の欠如は自分への関心をあおり、人々は自分だけが満足できる世界にこもろうとする。それは自分への過信を誘い、自分を評価しない社会への恨みとなって暴力を醸成する。それぞれの文化には決った食事の作り方や作法があり、世代や地域によって変化する。それを身体で感じ取りながら、自分の欲を制し仲間に合わせる楽しさを味わうことが、共感と信頼に満ちた社会を復活させ、暴力を抑える近道だと思う。
'09.11.30.朝日新聞・霊長類研究者・山極寿一さんに聞く
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