散歩道<326>

                最近の面白い本(1)吉田秀和・物には決まったよさはなく・隣人に好奇心持たず        (1)〜(3)続く
             の本は多くの所で話されたものを1冊の本に纏めたものです。興味ある記述内容を私なりに抽出したものです。)

1前の方が自由で人間らしい暮らしがあったとは断じていえないが、戦後40年の間に私達はどんな大きなものを失ってしまったのか簡単には言えない。最近では特に、かえって人間らしさとは何かが見えにくくなったのは事実。私は日本の社会をなしているものが、まるで膨大な砂の集団であるかのような錯覚を持つ、砂漠の塊を手ですくいあげた時のようにぼろぼろと指の間からこぼれてしまって、何ものこらない、砂の粒一つ一つの間をつなぐものが1つもないからである。1人1人が強く独立し、強靭な信念を持って生きているのと、個人主義というのとは同じでないように、1人1人が確固たる信条を持って暮らしていないというだけで、(日本の社会が個人主義の塊ではないとはいえないのである)。私には、この国の人たちは急速に、1人1人が離れ離れ、何を軸としているのかも知らないが、人とのつながりおいては、心が虚ろなまま、生きているような気がして仕方がない。日本では困っている人に同情したり、親切をしたりなんてことはなくなったのだ!。(隣人に好奇心を持つことはなくなった。

2、 私達日本人は「外国人は、ヨーロッパ人は」とか、フランス人はこうなんだから、ドイツ人というのはああなんだ、というふうにごく簡単に、ごく普通に話を一般化し対象を類型化して考えたり、しゃべったりするという大きな特徴をもっている。外国および外国人について話す知識は、誰かの話しをきいたり、本を読んだり、したことの方が私達が実際に経験したことよりも、圧倒的に多い、一方私達が普段ふれる本や話の圧倒的多数は、日本人同士で書いたり、話したりしたもので、今、言った傾向をもつていて安直に一般化して論じる性質のものだ。
3、 和歌,俳句に限らない、TVでも世界観、人生観に結びついたものが多い。根底には自然とその季節的循環と切り離しがたく結びついたものだ。だがニュースはいつも同じ、特に世界で起こっている大切なものを報道する上で,あんまり熱心ではないみたい。

4、 日本のTVは中立的、中性格、無批判主義が徹底している。天気の話、年中行事の話、この種の茶飲みは話的ニュースが多い。日本のTVニュースは日本人しか聞きたがらない内輪話が多すぎる。TVだけ見ていたら、大事なことを知らずに過ごしかねない。新聞、雑誌がどうしても必要になる。

5、 匂いというものは形があるわけではなく、言葉にするのがむずかしい点で、音楽と似たところがある。そうして音楽が、いつか聞いて、それっきり、忘れていたのに。ある日何処かで何かをしている時、急に思い出されることがあるように、臭いにもそういう性質がある。(海の色、風の強さ、日差しの明るさ、そのときそばに座っていた人が思い出させることがあるように、においの場合もそうなのだ)
6、 教師の仕事は生徒の才能が伸びることを注意深く見守り、わき道にそれないように気をつけること


関連記事:散歩道<1364>音楽展望・モーツアルトってだれ?(1)〜(4)

備考:18年度・吉田秀和様に文化勲章が決まった。おめでとうございます。!
備考:'12.5.22.吉田秀和様が逝去された、ご冥福をお祈りいたします。