散歩道<3257>

                     経済気象台(519)・円高と消費による成長戦略

 今年は早くも12月になったが、いまだに消費に力強さがみられず、懸念する声が高まっている。このまま経済活動の減速が続くと、南極大陸で自動車のエンジンを切るような愚行になりかねない。二度とエンジンがかからなくなるものだ。
 過去に有効だった景気対策は、すでに自民党政権の時代で使い切っている。だからこそ、あれほど強固であった自民党政権が経済成長の果実を配り続けられず、選挙民に見放されてしまったのである。政権交代によって民主党政権が誕生した。過去の景気対策に訣別して全く新たに、有効と考えられる手段を思い切って実行してみるしかない。
 第一に、5%の消費率を2%へ引き下げる。消費者の購買余力を瞬時に増やすことが狙いである。低所得者層を含め広範囲に恩恵が及ぶ。その上で、ばらまきといわれても、消費拡大に直結する財政支出の拡大を図る。
 第二に、効果が見られない超低金利へのこだわりを捨て、財政支出を優先し、金利上昇を容認する。高齢者を始めとして消費増加に繋がる。深刻な年金問題も、金利が高くなれば運用効果が確保でき、解決の糸口が見えてくる。安心して消費を増やせる環境が整う。
 第三に,今や米国がドル安を求め、輸入を減らし、国内生産を増やそうとしている。この機会に、日本はドル安・円高を受入れ、実質的な購買力を高め、消費拡大を促すことができる。同時に海外から日本へお金を戻すことになり、銀行が貸し出しに回せば、国内消費の拡大に結びつく。また株価や不動産価格が堅調となろう。
 日本のように構造的に需要不足の経済は、消費が拡大すれば成長できる。

'09.12.3.朝日新聞

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