散歩道<3249>
経済気象台(515)・あり得る選択
鳩山新政権の国づくりの方向は北欧型、あるいはフランス型の福祉国家ではないかと言われている。子供手当や派遣労働の抑制を始めマニフェストに盛られたもろもろの政策は、国民重視、あるいは「格差の是正」などで、これまでの成長重視、競争原理の徹底とは対照的である。
スウェーデンなどは貧困率が低く、格差も少ないとともに1人当りの国民所得も高く、その面では日本や米国よりもパフォーマンスは優れている。
また、同一労働同一賃金が原則であり、失業した場合も給付はもとより、転職のための職業訓練も行き届いている。それに裏打ちされた労働の流動性は、企業の競争による淘汰(とうた)や活力を生み、生産性と福祉とが両立している。又教育には特に熱心で大学まで授業料は無料、初等教育は1クラス20人以内、幼児教育は野外で仲間と共に大自然で親しむことを大切にしている。知識欲が出てきたところで知育に力を入れるので、学ぶ意欲は日本よりはるかに強い。高福祉のための高負担の前提となる「国への信頼」もある。もし、新政権がこのような福祉国家を目指すのであれば、その土台にあるような人間観や、雇用、教育の改革も含めてトータルに進めることが必要だろう。日本の社会や精神風土ももともとはそのような素地を持っていたが、成長に熱を入れ、米国型の資本主義の流れにのっているうちにそれを見失ってきたといえる。
ということは、政治が本気で決意し、必要な改革を続けるならば、北欧型をヒントとして、日本の国民性や精神風土を生かしながら、21世紀の今だからこそ出来る日本型福祉国家ビジョンを建てることはあり得る選択だと思われる。
'09.11.20.朝日新聞
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