散歩道<3228>
                   パネル討論・「資本主義の将来」(2)金融危機の教訓 生かせ                  (1)〜(3)続く      

政治・経済に隔壁
・・・ネットワーク効果という問題提起があった。冷戦後、中国と旧ソ連圏が世界市場に入ってきた。ネットワーク化した資本主義と、共産圏が入ったグローバルな資本主義が生まれた。そして今回の世界的な不況では、中国やインドなどの内需が危機をやわらげている側面もあるように思う。これらをどう理解すべきか。
サッセン氏 中国とインドで何億人もが貧困から解放されたといわれる。金融があってこそ成長が生まれた。金融で物質経済をつくり、所得を上げ、福利厚生も高まる。全人口に食料を与え、世界の人たちに家を作ることも出来る。新しい意味で資本を構築していく論理をどう見いだし、金融をどう使っていくかがポイントだ。
岩井氏 世界でポスト産業資本主義の国と産業資本主義の国が共存している。中国やアジアはまだ産業資本主義的だが、いずれポスト産業資本主義に近づいてくる。するとますます不安定になっていくのではないか。
・・・・金融に規制が必要だとも指摘された。多様化していく資本主義に共通の規制が可能なのか。例えば、中国の共産党一党独裁下の「資本主義」が今後も世界で大きな地位を占めていくとすれば、どう共通の規制を作るのか。
ジョス氏 たった一つのシステムにはならないと思う。結局はこれは単に経済ではなく、政治経済学なのだ。経済はグローバル化しているが、政治はまだ国ごとに分かれている。だから政治家はグローバルな経済の力を止めることが出来ない。国際的な経済問題を話し合う20ヶ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)も生まれたばかりだ。グローバル経済と各国別の政治をどう組み合わせればいいか分かっていない。
サッセン氏 これまで、ものづくりでは標準化を進めてきた。標準化しなければアウトソーシングできないからだ。財務、会計報告など、いろいろな標準化システムがある。各国政府の官僚はこの20年間、協力しあい、グローバル化されてきた。そこから一つの可能性が見えてくる。効果的な規制を設けるということもあるだろうが。危機が起きたときにどう一緒に対応するかということもあり得るのだ。
・・・ドルを基軸通貨として世界の金融も貿易も回っている。この資本主義の危機は、要するにドル危機ではなのではないのかという見方もできる。
岩井氏 私は韓国の友人と取引する時にドルを使う。友人がドルを受け取るのは、ブラジル人がドルを受け取るのはオランダ人と取引するためかもしれない。
 今の取引の中に米国人はいなかった。米国の商品を買うためだけに人々はドルを持つのではなく、米国以外の人たちが互いに取引するためにもドルを使っている。これが基軸通貨のシステムだ。一国の通貨が世界通貨なっていることも構造的な不均衡だ。それに、いかに対処するか。これからの資本主義を考えるときに最も重要だ。

2009.11.4.朝日新聞・パネル討論・東京大学教授・岩井克人氏、米スタンフォード大学院教授・ロバート・ジョス氏 米コロンビア大教授・サスキア・サッセン氏