散歩道<3226>

                 冒頭発言「資本主義の将来」(3)金融危機の教訓 生かせ                  (1)〜(3)続く                            

金融資産 過剰なレベル
 金融制度の規制緩和で市場には様々な金融派生商品(デリバティブ)が生まれた。これが経済の金融化を進め、非金融部門にも危機が組み込まれた。世界がグローバル化してから何度も危機起き、人々や企業に大きな痛みを与えた。貧しい人は常に苦しんでおり、今回は中産階級、中堅企業も苦しめられた。
 金融資産の総額がGDPを上まわった国は、90年の33カ国から06年には72カ国に倍増。金融危機が起きた08年9月には世界の金融資産は160兆jで、世界のGDPの3.5倍になっていたという調査結果がある。
 (米国の住宅ローンにすぎない)サブプライム問題がこれほどの危機になったのは、投機的で複雑なデリバティブが世界のGDPの10倍以上にまで達したためだといわれる。私は市場経済に反対しているわけではない。金融も市場も必要だ。しかし、これほどの過剰なレベルは不要だ。
 我々が今、目の当りにしているのは危機だが、ある意味でチャンスにもなる。利潤ばかりを追求すると、ブーメラン効果で大きなしっぺ返しが来る。富める人も逃れられない。物事の考え方を全く新しくして、これまでの支配的な論理を考え直す時がきた。我々は厳しい形で教訓を得た。それを土台に何ができるか、真剣に考える我々べきだ。


2009.11.4.朝日新聞・米コロンビア大教授・サスキア・サッセン氏

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