散歩道<3211>

                        私の視点・21世紀の東京 (3)           (1)(3)に続く
                           五輪より貧困と環境に目を
                    

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 しかし、長期的には、そして歴史の全体像からすれば、再生や都市基盤の整備を重ねてきた東京やパリ、ニューヨーク、ロンドン、ソウル、上海、その他多くの大都市は気候変動や目下の金融・経済危機から発生した新たな形の問題と向き合わなければならない。リオデジャネイロのような都市は五輪を都市の基本的な再建の機会とすることができる。だが、東京や私が挙げた大都市、欧州や豪州、北米の主な都市はその先を歩んでいる。気候変動の危機はこれらすべての都市に打撃を与えつつある。都市の緑化を進めることは、気候変動の解決に大きな貢献となる。ビルは温暖化ガスの主要な排出源であり、都市は有り余るほどのビルであふれている。東京のような大都市で取り組まなければならない重要なプロジェクトの一つだ。この意味で五輪開催は些細
(ささい)な問題に過ぎない。
 以上のことは、現代の主要なグローバル・シティー環境問題に対応するために、国際的な統治システムの一部になるという課題に向き合うことを意味する。気候変動に関連した環境問題の多くは深刻かつ切迫したもので、大都市の各政府は国際条約や国家の法律が成立するずっと前から行動しなければならなかった。東京都が解決に向けて動かなければならなかった。70年代からの大気汚染問題を思い起こせばよい、同じことが排ガスで大気がひどく汚染されているロサンゼルスでも起こった。東京がその最も重要な一つである世界の主なグローバル・シティーは次第に、多極化する世界にとっての政治経済上の基盤となりつつある。
 気候変動と多極化した新たな世界は、各国の政府にただ委ねるにはあまりに重大な課題だ。この二つは諸都市がともに協力して取り組まねばならない課題であり、現代の重大かつ切迫した課題でもある。


'09.10.29.朝日新聞・米コロンビア大教授・サスキャ・サッセン

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備考A:今政府で議論されている羽田空港、成田空港のハブ空港としての問題に、この指摘は参考にもなる。2009年11月1日
備考B:散歩道<1030>三者三論・五輪なぜ誘致・福岡軸にアジア結び発信(1)〜(2)2009年11月1日