散歩道<3206>

                          ザ・コラム・G20は近隣窮乏化防げるか(1)          (1)〜(3)続く
                                輸出への誘惑       

 世界経済の回復をうかがわせるデータが出始めた。しかし、以前の状態には戻れない。
 これまでは米国が借金をして世界中からモノを買って大量に消費し、世界経済の成長を引っ張っていた。借金体質は米国の不動産価格の上昇によってささえられていた。不動産価格が上昇したため。住宅などを担保に米国人は借金を増やしてきた。しかし今後、再び不動産価格が力強く上昇するとは考えられない。住宅価格は底を打ったようだが、商業用不動産の価格は下がり続けている。リーマン、ショックの前のような消費大国に戻りようがない。
 米国が消費を減らす中で、世界経済が成長(あるい現状維持)するためには、アメリカ以外の国々や地域で消費が増えなければならない。でなければ、世界経済が全体として縮小し、世界中で失業増などの被害が生じる。
 9月末に米ピッツバーグであったG20では、各国がそれぞれ内需を拡大し、バランスの取れた成長を目指すべきことが合意された。アメリカがこれから数年間は世界経済の牽引車になれない状況の中で、各国が協力しながら成長を実現しようということであり、G20のスローガンとしてはまことに時宣にかなったものである。しかし、この言葉通りの成長が実現するかどうかは心もとない
 G20首脳声明では、各国が自国内の消費や投資を増やす努力をし、相互に政策を監視することを約束したわけだが、その仕組みはあいまいで、本音では、どの国も輸出によって自国の景気回復を実現したいと思っているからだ。

09.10.29.朝日新聞・ 経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏

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