散歩道<3196>
     
                         社説・どうする 自民再生(1)                         (1)〜(2)続く
                           慢心捨て 現場に出て学べ

 茨城県医師会の政治団体である茨城県医師連盟は、8月の総選挙で民主党候補者を推薦した。日本医師会は自民党候補を推薦したから、茨城では「ねじれ」が生じた。それにも係らず私たちが長年付き合ってきた自民党とたもとをわかったのは、直接には後期高齢者医療制度に私たちが反対しているためだが、それだけではない。自民党の姿勢に、ずっとやりきれない気持ちを抱いていたからだ。
 近年、お年寄りが増えて社会保障費が毎年1兆円のペースで膨らんできている。危機感を強めた国は医療費総額を押さえつけようとして、その結果、国民の医療費全体が制限される世になった。医療従事者の側も、小さな病院や診療所ほど看護師らの人件費は押さえられている。さらには診療報酬を引き下げ、開業医の報酬を救急など医師不足の現場につけ替えるため、開業医は楽をして儲けているというバッシングまで始まった。だが開業医の多くは、40代くらいまで大学や救急病院で働いていた専門医だ。医療を守るには彼らの協力こそ必要なのに、逆に働く喜びを奪ってさえいる。
 社会保障についても、たとえば特別養護老人ホームでは食費や住居費がどんどん自費に切り替えられ、入所費用がかさむようになった。それでも40万人近い入所待ちのお年寄りがいるというが、そもそも田舎で農業や小さな商店を営んできた人たちは、年金だけでは老人ホームにすら入れない状況だ。
 茨城県にはたまたま、厚生労働族のドンといえわれた大物議員や財務相経験者等がいた。私たちは彼らに、こういう現状を知って下さいと頼んできた。しかし、自民党の政治家は現場の検証もせず、予算削減を何よりも優先する官僚に洗脳されてしまった。政治家に力がなくなったことを、身にしみて感じる。

09.10.11.朝日新聞・茨城県医師会長・原中 勝征氏