散歩道<3184>
社説・オバマ大統領に平和賞(2) (1)〜(2)続く
理念の外交へのエール
決定的なのは、オバマがアメリカのリーダーシップの必要性を説いても、「アメリカが常に正しい」とはけっして言わない点だ。国際社会の異なる意見に耳を傾ける、という姿勢を明確に打ち出している。クリントンでさえ、アメリカは「歴史の正しい側に立つ」と言っていたことを思えば、画期的なスタンスというほかない。
たとえば、理念を口にするとき、オバマは「アメリカ理念」と言っても、歴史の中に位置づけた理念のことを語っている。世界の歴史はアメリカ中心で形づくられてきたのではないこと、アメリカ国内にも複雑な歴史を抱えていること、信念もあるだろうが、それこそが、かれの知性だと思う。アフリカ生まれの父をもち、インドネシアで育ったという彼の出自からも培われた、彼の世界観に裏付けられた発言だろう。
それはアメリカを象徴する「自由」という言葉一つとっても、明確だ。ブッシュの自由は、アメリカが一方的に定義する自由であり、それはイデオロギーにすぎなかった。しかし、オバマの言う自由は、ひろく世界の人々に、普遍的に共有されるものに違いない。それが理念なのだ。難題を抱えるオバマにとって道はたとえ険しくても、ッ理念を追求するその姿勢を、私たちは共有できると思う。
'09.10.10.朝日新聞・成蹊大教授・西崎 文子さん
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