散歩道<3168>

                         経済気象台(499)・新政権の挑戦

 政権が変わっても何も変わらないと思っていた人たちが、もしかするとと思い始めた。その最大の理由は、マニフェストにある「すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に、税金を集中的に使う」ために内閣全体がスピード感をもって行動していることである。既に財源確保のために今年度補正予算の一部執行を停止し、来年度予算の「概算要求」の手直しを指示した。また公共工事も案件ごとに見直しに入った。官僚任せにせず政策の優先順位を決め直し、本気で予算を組み替えようとしている。すさまじ軋轢(きれつ)が予想される中での正面突破は国民にとって新鮮で大きな驚きである。
 もちろん政策実現のための財源が捻出
(ねんしゅつ)できるかという問題や当面の景気動向などの不安要素もある。それら次第では政策を一部変更せざるを得ないかもしれない。地域主権の実現、年金制度の一元化などの国の基本枠組みの変革や核兵器廃絶に向けての取り組み、米国・アジア諸国との関係強化等々への期待も大きい。一方で経済対策・雇用対策・地球温暖化対策などについての産業界との合意形成は欠かせない。これからどう進めていくのか、国民は新政権の決意と実行力を固唾(かたず)をのんで見守っている。
 制度疲労を起こしている官僚主導の中央集権体制を終焉
(しゅうえん)させ、土建工事を主役とする利権誘導型政治・行政を根底から変え、内需主導の経済体制を実現しようとする新政権の誕生は二大政党政治の開始というよりも、国の基本骨格変革にむけての一大挑戦といえよう。首相のいう通りこれからの道のりは「未知との遭遇」になるだろうが、国民に希望を与えたことは確かだ。

'09.9.26.朝日新聞