散歩道<3165>
                           社説・リーマン・ショック1年(1)                   (1)〜(2)続く

・・・・今回の金融危機では、日本の一部の金融機関も大きな損失を出しました。
 「うちにも外資系の証券会社が、サブプライムローンの証券化商品を売りにきた。だが、『中身の分からないものはノーだ』と突き返した。だからサブプライム関係の損失は全くない。証券化はそもそも、1980年代、米国の貯蓄貸付組合(S&L)の破綻処理やメキシコの債務返済危機への対応策として、不良債権を散らすために編み出された。ローン債権を組み合わせたり、輪切りにしたりして広くばらまいても、リスク自体はなくならない。金融工学が錯覚をつくりだした」
・・・・世界最大の保険会社、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も、企業倒産リスクを売買する金融商品で大損を出し、米政府に救済されました。なぜ保険会社がこんな失敗をしたのでしょうか。
 「対象の企業がつぶれないという前提に立って、身の丈をはるかに上回るリスクを抱えた。とりわけリスクに敏感でなければならない保険会社が危機の震源地のひとつになってしまった。だが、米国でもノースウエスタン・ミューチュアルやニューヨークライフなど、短期の利益追求に走らず、保険会社本来の地道な経営をしているところは微動だにしていない」
・・・・金融工学の理論や格付けも頼りにならないとすると、今後のリスク管理はどうすればよいのですか。
 「経験に基づいた判断が必要だ。たとえば、暗黙の政府保証がついている米政府系住宅金融会社が発行する債権についても、リーマン・ショック前、私は経営の判断として『上限を設けろ』と現場に支持した。政府保証があれば安全だと現場が投資を進めるのは分かるが、積み上げすぎてはいけない」
'09.9.24.朝日新聞・日本生命会長・宇野郁夫氏

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