散歩道<3161>
opinion・09政権交代.・新内閣への注文(2) (1)〜(2)続く
ゼロ成長時代のモデル築け
グローバル化の中に、先進国が400年かけて手にした豊かさを、新興国の30億人は1、2世代で手に入れようとしている。最終ユーザーはいまやアジアだ。鳩山由紀夫首相、岡田克也外相のアジア重視外交は、リーマンショック後の世界はユーラシア時代という潮流に平仄(ひょうそく)があっている。
ただ、輸出の中心はモノではなく、サービスや知的所有権に関する分野にシフトするべきだろう。「ジャパンクール(格好いい*1日本)」をアジアの内需にどう結びつけるか。アジアの人が抱く日本人の生活スタイルへのあこがれを本物にする脱近代モデルを示さねばならない。
脱石油も、同じ視点から重要だ。鳩山首相が打ち出した温室効果ガスの大幅削減は経済界には評判が悪い。だが、途上国の負担の上に富を築いてきた先進国が、今度は負担を引き受けなければならない以上、厳しい目標を示すことで国際的な支持を得られるはずだ。
内閣基本方針には、経済合理性重視の経済から人間のための経済への転換を目指し、国が予算を増やせばすべての問題が解決できるものではないとある。成長がすべてを解決する時代が終わったというメッセージであり、これまでの自民党政権との違いがはっきりと表れている。
70年代以降の遠回りで失った分を取り戻すには10年でも足りない。新内閣はすこしずつ独自性を発揮していけばいいが、成長戦略がないと批判されても、むしろそれを持たない方が21世紀の潮流にマッチしていると考え。成長志向の名残を一掃してほしい。
'09.9.18朝日新聞・三菱UFJ証券・チーフエコノミスト・水野 和夫氏
関連記事:散歩道<2500>私の視点・景気拡大の終わり・もう内需には頼れない(2)、<2504>討論会・インフレ景気減速が暮らしを脅かす(3)、<検>言葉・*1かっこいい、146-4、448、2502、