散歩道<3160>

                   opinion・09政権交代.・新内閣への注文(1)           (1)〜(2)続く
                       ゼロ成長時代のモデル築け

 ゼロ成長のもとでも豊かに暮らせるというモデルを、ひるまずに築いてほしい。選挙を通じて民主党が示してきた政策の中にも、新たなモデルづくりの芽はある。パイを大きくすれば何とかなった時代は石油危機で終わったのに、自民党はゼロ成長時代への転換を図ることなく成長にこだわり、インフレとバブルでつじつまを合わせてきた。それは結果として、せっかく築いた一億総中流社会を崩し、入れ替え戦のない1部と2部リーグに社会は分断されてしまった。
 子ども手当てとか高校までの教育費の事実上無料化といった民主党の政策は一見バラマキのようだが、本来は分断された社会を元に戻す努力の表れだ。ところが自民党から成長戦略がないと批判されると、一連の政策は内需振興に結びつくなどとつくろってしまう。相変わらず成長戦略などといっている自民党も自民党だが、ひるんでしまう民主党もどうか。
 国民の関心は景気対策にあると言われるが、かってと違い生産の回復が所得や雇用、個人消費の回復に結びつかない。原油など資源価格の高騰によるコスト増を人件費で吸収している現状では、なまじ生産が増えれば働く時間が増えるだけ。国民はそういう景気回復を求めているのではない。
 人口の減少で内需の伸びは期待できない。外需もモノの輸出に頼っている限り資源高騰で引き合わない。そういう経済構造の転換を知ってかしらずか民主党が打ち出した再分配の政策は、時代の流れに沿っている。
 新しいモデルでは、アジア重視の姿勢と、「成長がすべてを解決する」という20世紀モデルからの脱却の二つが重要だ

'09.9.18.朝日新聞
三菱UFJ証券・チーフエコノミスト・水野 和夫氏

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