散歩道<3159>
経済気象台(497)・政府への信頼が好景気の源
現時点での中国は金融危機の影響はうけていない。政府の4兆元(約55兆円)の財政出動が功を奏しているといわれるがそれだけではない。外部からの刺激で景気の底割れを防いでいる日本とは異なる構造がある。
先ごろ、河北省地方都市郊外の農村を訪ねた。トモロコシ畑が周囲を取り巻く、千世帯5千人弱が暮らす村である。地方都市近郊の典型的な農村だろう。かっての人民公社時代はともかく、数年前に比べてもはるかに豊かな生活を送っている。
村全体が自家用車が300台程度あるという。世帯当りの普及率は約30%、予想以上に高い水準である。日本の70年代の雰囲気だろうか。しかも自動車のない世帯も購入意欲は旺盛で、民族系メーカーの格安車ではなく外資系上級車を近いうちに購入したいと言っている。外資系上級車となれば日本円で300万円は超える価格である。そのための貯蓄もあるそうだ。
この貯蓄をもたらす所得の源泉は農業に加えて都市での勤労収入である。兼業農家なのである。働き手は都市に勤務し、その通勤の足として乗用車を購入している。乗用車は単なるぜいたく品でなく必需品でもある。この状況を見ると、中国の自動車販売が都市から地方に波及し、前年同月比20%を超える販売動向も納得できる。
しかし、所得増だけで消費増が生じるわけではない。農民たちが口をそろえるのは、生活を確実に向上させた「政府への信頼」である。これがなければこれほど耐久消費財は伸びず貯蓄が増えるだけだ。消費が冷え込んでいる日本の経済状況も、今回成立する新政権が信頼するに足る存在と確信できるかで大きく変わることは間違いない。
'09.9.15.朝日新聞
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