散歩道<3150>
                         社説・リーマン破綻1年(1)                          (1)(4)続く
                          運命を共にする時代        

 世界中をマネーが急回転し、その推進力である米ウオール街や英シティの金融トレーダーが巨額の富をかっさらっていく。それでも世界経済はそうやって回していくしかない。そんな風に漠然と考えていた人も少なからずいたのではないか。
 去年の9月15日。「グリード(強欲)」の象徴としてののしられることになる米大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が世界経済を大恐慌以来の危機に突き落とすまでは。
 リーマンは「拝金主義」の墓碑銘になるのだろうと思われた。経済には規律が必要だ。市場が機能するには信頼が必要だ。回復するには倫理と節度を取り戻すしかない。そんな誓いが何度も語られた。
 それから1年、米国では主な銀行に公的資金が注入され、世界最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)が破綻した。世界のモノやサービスを吸い上げてきた米国の過剰消費は、いやおうなく修正された。欧州でも有力銀行が国有化された。
 日本は輸出依存の景気回復というアキレス腱を直撃され、戦後最悪の経済収縮を引き起こした。派遣切りなど解雇の波が正社員にも広がり、失業率は過去最悪の5.7%に達してもなお悪化が止まらない。

'09.9.14.朝日新聞


関連記事:散歩道<検>サブプライムローン