散歩道<3142>
面白い話・めす猿にもてないおす猿はボスになれない
群れを成して生活する動物には必ず指導者がいて仲間を統率している。猿の群れにおけるそれはボス猿で、一群の生活と安全を保証する重大な責任を持っているので権限も大きく、それだけに、だれでもなれるというものではない。
ボス猿は人(猿)気がなくてはならない。人気の要因は、
1、気が強いこと、
2、体力が優れていること、
3、喧嘩の仲裁ができること、
4、めす猿にもてること、
人間社会での色男は金と力のない優男と、昔からきまっているが、猿の仲間では、生活と生命がかかっているだけに、めす猿は真剣におす猿の能力を評価する。めす猿にも、よい子猿に恵まれたボス猿は、老衰しても権威を失わない。
人間仲間でもっとも的確に人間を評価するのは料理屋の仲居や女中だそうで、彼女たちの評判の悪い社長は警戒した方がよいといわれている。男は仲居や女中の前では気を許して正体を暴露する、とくに酔った時、勘定を払う時、チップを渡す時にそうである。しかし彼女らは、金づかいの派手なお客を歓迎するするが、信頼はしない。
ボス猿は世論を無視できない。
猿山に若くて美しい女猿を新入させた。まず小さい檻に入れてボスと見合いをさせたらひと目でボスの気にいって、さまざまな愛情の表現が行われた。
数日たって、もう大丈夫と、檻から出してグループの中に入れると、意外なことが起こった。花嫁猿は先輩の夫人猿たちから追いまわされ、吊るし上げを食ってしまったのである。そしてさらに驚いたことには、最初のうち唖然としていたボス猿が、何を思ったか、急にとび出してき、先頭に立って花嫁猿を追いかけ噛みつき、排撃行動のリーダーとなってしまったのである。彼は新米の彼女が好きであった。しかし在来の彼女たちの世論を、より尊重したのである。座右の銘・著者・大橋 武夫氏・(三笠書房・1984第1刷発行)・(林寿朗著「動物園日記」より)
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