散歩道<3139>                           

                          経済気象台(492)失業長期化は回避せよ

 失業の長期化は厄介な問題を引き起こす。先日一つの警告が米国であった。8月15日に終わる週に、米国の失業保険受益者の数が613万3千人と、前の週に比べて11万9千人も減った。仕事が見つかったためならいいが、そうではない。この1週間に新規の失業保険申請は58万件にのぼり、まだ増加している。
 からくりはこうだ。米国では失業保険の給付期間を半年としている州が多い。7月の時点で平均失業期間が既に25.1週間になっていて、間もなく半年になろうとしていた。つまり、その後も職が見つからずに、ついに半年がたち、失業保険の受給期間が切れてしまった人が大量に発生するようになったことを示唆している。
 同じ失業者でも、これまでは失業保険で生活できた人が、突然無収入で路頭に迷うことになる。勿論住宅ローンも払えず、家が差し押さえられ、これらが住宅価格の再下落、ローン担保証券の価格下落、不良債権の増加となりかねない。まさにヘーゲルの「量は質に転化する」事態が起ころうとしている。
 日本では失業手当の給付期間が1年となっており、失業者は昨年暮れから急増している。まだ多くの人は失業手当をもらえるが、このまま失業期間が長引くと、失業手当をもらえない人が年末以降急増、量から質の問題に転化しかねない、そうなると雇用対策だけではすまない。
 民主党は失業対策に力を入れるというが、失業者の直接救済という対処療法失業手当をもらえだけでなく、一刻も早く、雇用機会を確保する必要がある。農業生産への誘導、新エネルギーの生産支援、介護や医療現場の人手不足など、現実的な形で雇用の場を確保することが急務である。

 '09.9.5.朝日新聞