散歩道<3129>
ザ・コラム・国際金融規制(2) (1)〜(3)続く
借り手の問題こそ重要だ
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こうした欧米の金融規制強化の議論に対して、日本の金融庁や銀行界からは、批判的な声が上っている。特に日本が問題視しているのは、金融機関が保有すべき自己資本比率を高めるべきだという欧米の議論だ。自己資本を高めれば、貸し出しに回せる資金が少なくなる。長年、不良債権処理を進め、リスクの小さい地道なビジネスを心がけてきた日本の銀行からみれば、危ない橋を渡って大失敗した欧米の投資銀行のせいで自分たちまで規制強化されては割りに合わない、という思いが強いのだ。いま不良資産を抱えていない日本としては、これから攻めに出るチャンスだが、資本規制が強まれば思ったように動けない、という本音もあるだろう。
日本の金融システムが置かれた状況は欧米の状況と異なっているだから、批判すべきところは批判するというのは当然だ。しかし、90年代の経験を経た日本としては、欧米の議論に対して建設的に論点を提起することがあってもよいのではないか。
欧米諸国の現在の議論で抜け落ちている論点として、不良債権処理を促進するための「借り手側に関する政策対応」というテーマがあるように思われる。
どのように金融規制を変えたとしても、おそらく資産バブルの再発を防止することは難しい。1980年代、日本の金融機関が非常に厳しく規制されていた時代に、不動産バブルが発生した。それを考えると、規制強化でバブルが防げるという現在の欧米の考えはたぶん楽観的すぎる。
'09.8.20.朝日新聞・経済研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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