散歩道<3121>
シンポジューム 「いま『言語力』があぶない 読書は言葉を救えるか」(1) (1)〜(5)続く
基調講演・北川達夫さん・言わなければ伝わらない
15歳を対象にOECD*1が00年から3年ごとに実施しているPISA*2で、日本の「読解力」の得点がOECDの平均並みにまで低下しています。この状況に、子供たちの「言語力」を危ぶむ声が上っています。
「読解力」というと、文章を読み。解釈する能力というイメージですが、PISAでは、もっと総合的な言葉の力、いわば「言語力」が問われます。
たとえば@落書きはけしからんA落書きは一種のコミュニケーションだ、と異なる意見を並べ、「あなたはどちらの意見に賛成ですか。また@Aのどちらが説得力がある意見ですか」と尋ねてきます。
「@が正しいに決っている」と思う人が多いでしようが、異なる価値観を持つ人に「決っている」は通用しません。
PISAで決められるのは、@書かれていることを正確に理解するA書かれていることを手掛かりに、その背景にあるものを推論し解釈するB書かれている内容と自分の考えを比べて評価して、自分の意見を述べる、という3段階で、ものごとを考えることなのです。
私は、このテストで毎回、好成績を収めているフインランドで外交官として暮らしました。そこで実感したのは「言わなければ伝わらない」ということでした。
グローバル化が進み、価値観が多様化する社会では、何ごとも言葉で説明することの重要さが増します。
また、社会の変化が急速な時代には、知識を単に覚えるより、新しい知識や情報を使いこなす頭脳が求められます。PISAが求めるのは、そういう「言語力」です。 PISAのこうした問いに白紙解答した子が、参加国の中で特に多かったのが日本でした。なぜなのか、それは読書量の低下と関係しているのか。日本の受験者の53%が、読書を趣味としない、と答えています。
'09.9.4.朝日新聞 パネル討論 山根基世さん 北川達夫さん 平野啓一郎さん 秋田喜代美さん
<解釈>OECD:*1経済協力開発機構 、PISA:*2学習到達度調査
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