散歩道<3106>
経済気象台(486)・ヒトの無駄遣いをやめよ!
選挙戦の論点のひとつに、財政資金の無駄遣いがある。そこからどれぐらい財源をひねりだせるかが焦点だが、われわれが強い関心を持たなければいけない無駄遣いは、他にもある。
それは、ヒトの無駄遣いである。優れた技能を有する人が、年かさであるというだけで、就職機会に恵まれない。女性の活用も遅れている。世界経済フォーラムが算出しているジェンダーギャップ指数(政治・経済・教育への参画度合いにおける男女格差を示す)をみると、日本は130ヶ国中98位という低さだ。
若者の就業実態も、ヒトの無駄遣いを如実に表しているといっていい。学校を卒業したのが不況期だったという「運の悪さ」が、非正規社員を増やし、その後長きにわたり、スキル蓄積やキャリア形成の機会を阻む。企業が即戦力となる新卒者を求めることから、大学生は1〜2年の時から、資格取得や就職に備えた準備を始める。学生は、豊かな教養を身につけ、思考を深める機会を失っている。博士号取得者は増えているが、彼らがその専門能力を生かせる職場はあまりに少ない。
国土や天然資源に恵まれない日本の発展を支えるのは、これまでもこれからも、多くの優れた人材だ。しかし現在はヒトの能力が生かされていないことが、日本経済の閉塞感(へいそく)を一段と強めているのではないか。だとすれば。ヒトの無駄遣いをやめることが、今後の活路を開く最大の要素となるはずだ。学校教育の中身、企業による人材育成、年齢や性別を越えて、才能や専門性が正しく評価され生かされ労働市場や職場つくりなど、課題は山積している。各党は、ヒトの無駄遣いをどのようにとらえているのか。
'09.8.26.朝日新聞
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