散歩道<3095>

                              経済気象台(478)・ 保温家族                               

 オランダ人の親は、子供にも議論させる。小さい時から、人の意見を聞かせ、自分の考えを磨き、重要なことでも正しく判断し、自立できる人に育てようとするからだ。
 博報堂生活総合研究所が、日本の家族に関する分析をしている。「意識して家族の絆を強めることをするほうがいい」という人が20年前に比べ、夫で19ポイント、妻で12ポイントほど増えている。また、家族の誕生日を祝う人も、家族全員でテレビを見る人も、20年前に比べ、確実に増えている。同研究所では、現在の日本の家族の姿を、安息の場としての家族をそれぞれが悩み、迷いながら、維持しようとメンテナンスしているという意味から「保温家族」と名つけている。
 一方、統計数理研究所が5年おきに実施している国民性調査では、「学校を卒業してから離れていく自分の子供に、親としてどちらの言い方をするのがいいのか」という質問に、困ったことがあったら、まず親に相談しなさい」と答えた人が78%で35年前に比べ20ポイントほど増え、「親を頼りにしてはいけない」と答えた人は、20ポイント近く減少している。
 不況以降、日本では親が家族を維持し、子供を守ろうとするあまり、子供たちの自立を遅らせている。また、そのことが、就職はしても自立しないパラサイトとよばれる人たちや、卒業後も親と同居し、就職を希望しない、あるいは就職活動をしないニートと呼ばれる人たちを生む一因となったと捉えることもできる。オランダとは違う家族への思いが、若者の自立を鈍らせ、結婚年齢を遅らせ、少子化を招くだけではなく、新世帯誕生による住宅関連消費の低迷など、景気にも悪影響を与えている。

'09.8.4.朝日新聞